お箸の専門店で日々箸を見ているスタッフはどんな箸を使っているのか!?こちらの連載では、箸蔵まつかんで働くスタッフの愛用箸をご紹介をしていきたいと思います。お箸のプロが選んだ品は皆さんにきっと自信を持っておすすめできる商品のはず。ご参考にお楽しみください!
第4回目は、本社の営業卸売課でお仕事をされている井石伸洋さん(以下:I)にお話を伺ってみました!
---まず初めに、自己紹介として、毎日どんなお仕事をされているのかを教えていただけますか?
I:はじめまして、井石伸洋です。昨年の4月に入社をして、営業卸売課に所属をしています。主に担当している仕事は、マツ勘の箸を取り扱いたいお客様へ商品のご提案をすることです。売り場をきちんと把握して、最適な商品や什器の設置の相談に乗ったり、長期の取り扱いから、単発的なPOP UPや展示会の準備なども業務のうちに含まれます。
---入社してまだ1年ばかりだけれど、本当に吸収力が高く、私より長く会社にいるんじゃないかな?と思うくらい、きちんと商品一つ一つの特徴やそれに纏わるストーリーを言葉で伝えることができてしまう井石さん。営業職ということで、商品について隈なく理解することは必要不可欠なことと思いますが、ここはひとつビジネスは抜きにして(笑)、井石さんが自信を持っておすすめする愛用箸や、贈り物としてのおすすめの品をぜひ教えてください!
I:はい、分かりました!まず、私のお気に入り箸の一つ目は、食洗機対応の「草木染の箸」です。こちらの箸は、赤、青、紫、黄色、黄緑の5つのカラーがあるのですが、全て天然の素材から色を引き出して染め上げているところが、お気に入りのポイントです。 合成塗料では決して出せない優しくて、柔らかみのある色味。1膳ごとに色ムラがあるのも、天然の染めならではの特徴でとても魅力的だと思います。
---特に何色が好きですか?
I:どの色も美しいですが、藍染の青ですかね。単純に僕は青や紺色がとても好きというのはありますが、食卓で青みのある箸って敬遠されがちだと思うんです。でも藍色は古くから日本でも親しまれてきた色味ですし、独特なあたたかさのある青みだと思います。自然な色合いだからこそテーブルに並ぶお料理にも馴染みますね。
---こちらの箸は単品商品としては、2,000円(税抜)と少々お値段が高めですよね?
I:そうなんです。箸って様々な工程を経て、1膳の完成品が出来上がるのですが…マツ勘では各工程、そこでしか出来ない技術を持つ工場や職人さんにお願いして箸を仕上げていただいているんです。この商品も、木工製品に天然染色をすることを得意とする、長野の高山家具製作所さんにお願いをしています。木材を天然染色で染めることは、やはり専門知識や技術が必要となり、たくさんの手間暇がかかってます。高山家具製作所さんの丁寧な仕事があってこそ生まれる箸なんです。
---うんうん、本当にそうですよね。このメープル木地も軽い持ち心地ですし、草木染の色味と相性もバッチリ◎塗り分け箇所の自然なグラデーションもとてもいい感じです。ご家族みんなで色違いで揃えてみても素敵ですね!
I:ご家族皆さんで揃えてもらいたい箸といえば、僕の次のお気に入り箸がそうなんですが、こちらの「国産浄法寺漆 和桜」もお気に入りの一つです。
木地には国産の桜の木、漆は最高の品質といわれる岩手県・浄法寺漆、塗りはお箸の産地である福井県の小浜市で施しています。最初から最後まで正真正銘の国産箸というところがお気に入りのポイントです。
それに、持ち手部は刷毛塗り、持ち手部と箸先の間の部分は桜の木の模様を楽しんでいただけるよう擦り漆になってます。さらに箸先にも口当たりが良くなるように漆を塗っているのですが…こうした小さなものをつくる中でも、塗り方にさりげなく変化を持たせて楽しませてくれるところが粋で格好良いですよね。
---職人の技が散りばめられているということですね。それを聞くと厳かな感じもしますが、それを感じさせないこのぽてっと丸みのある見た目は可愛らしくて、仰々しさがなく、私も大好きな箸の一つです!
I:漆の箸としては少しお手頃な価格ですし、スリーブ箱にも入っているので体裁も良く、贈り物にしてもとても喜ばれます!サイズ展開も豊富なので、それこそご家族で揃えたりするのもおすすめです。ちなみに、僕は友人のお子さんに”お食い初め”のプレゼントとして差し上げました。
---なるほど!大人の方への贈り物はもちろんだけど、お子さんの成長をお祝いする節目で差しあげるのもいいですね。今のシーズンだと、ちょうど卒園や入学の記念日で、プレゼントしてもらうにはとってもいい箸ですね。ポップでカラフルな子供箸も可愛いですが、こういったちょっと質の良いクラシックな箸もお子様にこそ使ってほしいですよね!では、最後になりましたが、あともう1つだけおすすめをお願いします。
I:3つ目は、最近オンラインストアでも新商品としても販売された「漆螺鈿WAKASA」というギフト箸です。漆の箸だけれども、嬉しい食洗機対応で耐久性もあるので、これは間違いなくヒット商品になると予感はしていました。
この箸が好きな理由としては、僕は本当に自然好き、特に海が大好きなんで、小浜の水面に映る夕陽の煌めきをイメージしてつくられたこちらの箸は、正に使う度にその風情が伝わってくる1膳なんです。
使う度に、螺鈿が光って、情景見えてくるような、波の音が聞こえてくるような気がして…小浜に来てほしい友人に「本当にこんな景色がここで見えるんだよ!」と思いを込めて贈りたい箸です。
---透け感のある飴色の持ち手部に、螺鈿がふんだんに散りばめられていて本当に美しいですよね。”漆”と”螺鈿”という若狭塗の意匠を引き継ぎながらも、たくさんのことを想像させてくれるプロダクトですね。
I:そうなんです。僕は元々岡山県の出身で、小浜に移り住んだ際に、ここの自然環境にすっかり惚れ込みました。でも、いつかこの土地を離れる時も来るだろうとも想定していて…そう考えた時にこの箸は「僕が小浜に5年間いたという証」を示してくれるような大事1膳なんですよね。
---ちょ、ちょっと大袈裟じゃないですか…!?(笑)私からプレゼントしましょうか…?(笑)
I:いやいやいや(笑)でも、正直にいうと「箸メーカーで働いているから、箸をプレゼントするね!」ってなんだか味気ないじゃないですか。贈り物をする際、その商品の背景やストーリーを含めて僕はプレゼントしたいなと思うので…小浜という土地の風情を共有できる箸として、大切な誰かに贈りたい商品ですね。
---ふふふ、いいですね!それは贈り物をする際の心得として一つ良いヒントにもなりそうです。どうもありがとうございました。
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以上が井石さんのお気に入りお箸3点でした!毎日何気なく使っている箸ですが、井石さんのお話しを聞いて、少しでも皆さんの新しい発見や、お箸選びのヒントとなったのなら幸いです。
商品概要