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福井県小浜市は日本海に面する人口3万人ほどの小さなまちですが、日本における塗り箸のシェア8割を誇る一大生産地です。
400年の伝統を誇る「若狭塗」の技術を用いた伝統的若狭塗箸が有名ですが、その枠に囚われず自由な発想を箸に表現する作り手がいました。

塗り箸職人の的場政義さんです。
的場さんは昭和13年生まれ。幼い頃から絵を描くのが大好きで、家が貧しいながらも木の葉をパレット代わりにして絵を描いていたそう。
18歳のときに箸職人の世界に入り、伝統的な若狭塗箸の技法を身につけたあと独立。箸職人として20年以上が経ったころ、これまでの若狭の塗り箸にはない‘絵筆を用いて箸に色付け’をする『筆描き』の技法を取り入れました。

黒や赤の古典的な箸が主流だった中、的場さんの生み出す色彩豊かな箸の数々はどれも革新的なものでした。女性が身につけるブローチや、衣服、ステージの照明などからもデザインのヒントを探っていたという的場さん。いいアイディアを思いつくと夜中でも飛び起き、工房に籠ったそうです。

60年以上にわたる職人人生で生み出した箸は500種類以上。幅わずか1cm、長さは大きくても23cm。箸という小さなキャンバスから飛び出さんばかりの豊かな色彩は、私たちに新鮮な驚きを与え、食卓に鮮やかな華を添えてくれます。

結晶シリーズ・代表作

的場さんの代表作をいくつかご紹介します

−夜空−

持ち手部のラメ、アクセントの青や緑が目を惹く「夜空」。装飾品のような華やかさを持ちながら、どこか伝統的な若狭塗箸の面影が感じられます。だからなのか、不思議と普段の食卓に取り入れやすいのが魅力です。
黄色のベースに塗られた筆描きからは独特な奥行きを感じます。不動の人気商品です。

−彩筆−

それぞれ「夢桜(赤)」「藤花(青)」「紅葉(橙)」「春山(緑)」をイメージした彩筆シリーズ。
的場さんのアイデアの源の一つは自然。工房の周りに広がる山々や川、田畑の四季折々に変化する美しさを感じます。

−木漏れ日−

的場さんが亡くなる前に作った作品。初めて白をベースにした彩筆箸で、春の光のようなあたたかな風と光が描かれています。

的場さんは2019年に他界。現在はお弟子さんである藤井祐也さんがその技を受け継いでいます。

藤井さんは地元・小浜市の出身。
それまで箸にもものづくりにも全くの無縁でしたが、不思議なご縁に導かれ的場さんの元で学ぶことになりました。
そのとき藤井さんは34歳。箸職人として経験を積むには、決して若い年齢ではありませんでした。これまで長年続けてきた仕事を辞めて未知の世界に飛び込むのには、大変勇気のいることだったでしょう。

しかし、的場さんのもとに通うのは全く苦にはならなかったそうです。
「的場さんはかわいらしい人だった。厳格な職人という感じはなく、おおらかで、よく笑う人。的場さんじゃなかったら、弟子入りしてなかったなあ」と語ります。藤井さんが的場さんのことを語るとき、とてもやさしい顔になるところから的場さんのお人柄を感じます。

藤井さんが弟子入りしてから数ヶ月後、的場さんの病気が発覚。余命がわずかだとわかります。そこから的場さんはできる限りのことを藤井さんに伝えようと、体力が許す限り工房で時間を過ごしました。受け継ぐ側の藤井さんも必死でした。
師匠を失うかもしれないという状況で不安な気持ちは無かったかと聞くと、「将来への不安とか考える間も無く箸を作っとった」と笑います。

藤井さんに教えている頃、的場さんは「藤井くんは、なんにも箸のことを知らんからええ。素直にどんどん吸収しよる」と語ったそうです。
藤井さんは自身は決して器用な方では無いと語りますが、お話を伺っていると至る所に繊細な気遣いを感じます。そして使い手の気持ちに立った細やかな心配りは、箸づくりにも現れています。的場さんが描く奔放な感じとはまた違い、藤井さんの箸からは繊細な雰囲気が感じられるのです。

筆描きの箸は同じデザインでも作り手によって少しずつ風合いが異なるのが面白いところ。手作業だからこそ生まれる個性ある風合いをあなたの食卓でもお楽しみください。

塗り箸の話

福井県小浜市は「塗り箸」の一大生産地。
「塗り箸」とは木や竹に漆などを塗り、箸にしたものです。素地そのものの箸より耐水性に優れ丈夫であることから、江戸時代初期より日本各地の漆器産地で製造されるようになりました。

その中で最も早く塗箸を作るようになったのが若狭小浜藩であると言われています。小浜藩では藩主酒井忠勝公の奨励により漆器産業が発展。螺鈿や卵殻などで紋様をつける「若狭塗」が誕生しました。若狭塗は漆を何重にも塗り重ね生まれる堅牢さと紋様の美しさから、実用性と美しさを兼ね備えた塗物とされています。その技術を箸に応用したのが若狭塗箸です。漆が大変高価だったため、当時の「塗り箸」は身分の高い人だけが使うことのできる高級品でした。

庶民の間で「塗り箸」が使われるようになったのは戦後になってから。合成塗料の発達とともに大量生産が可能になり、漆の塗り箸に比べ低価格で提供できるようになりました。
現在の小浜市では手作業で製作される伝統的な若狭塗箸の他に、合成塗料を用いた低価格帯の「塗り箸」も作られており、塗り箸の国内シェアは8割を誇っています。あなたのお使いの箸も、もしかしたら小浜で作られたものかもしれません。


参考資料: フナイワークス 塗り箸の歴史



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