お箸の専門店 箸蔵まつかん


「京のあやさし箸」― 京都の技と料理人の感性が生んだ一膳

“綾のようにしなやかに、指先のごとく繊細に”

京都で育まれた銘竹が竹材職人の手で形になり、仕上げの漆が優美な艶をまとわせるー
その技に料理人の研ぎ澄まされた感性が重なり合い「京のあやさし箸」は生まれました。
素材の選定から形状の設計に至るまで、京都ならではの美意識と綿密な感性が織り込まれた、
京都の技が集結した至極の一膳。

今回、この箸を監修してくださったのは、京都で代々料理を生業としてきた家柄に生まれ育ち、
カリナリーディレクターとして国内外で活躍されている中東篤志さん。

世界を舞台に日本の食文化を発信し続ける中東さんに、箸に込めた想いやこだわりを伺いました。

繊細な操作性を追求

ーーーまず最初に、食のプロが使いたくなる調理箸を一緒に作りませんか?とこちらからお声がけさせていただいたのですが、
「京のあやさし箸」を監修する上で一番求めたポイントはどこでしょうか?

中東さん(以下:N):何よりも細かいものがすっとつかめることを求めさせていただきました。
例えば、とんぶり一粒も確実につまめますよ。これは、箸先が尖りすぎていても、丸すぎてもダメなんです。
先端の”点と面”の支えの絶妙なバランスで、どんな食材もつかみやすいようにしました。

とんぶり一粒も軽々と

ーーー私も実際手にしてみて驚きました。小さなものも難なくつかめ、軽さも相まって手を滑らかに動かすことができる。

N:そうですね。洋食はピンセットで盛り付けることもありますが、和食は盛り付けの際より細かな動作が求められます。
この箸なら“包む、くるむ、寄せる”といったピンセットではできない動きができるし、
角度をつけて斜めから盛り付けたり、360度どこからでも立体的な使い心地が可能になるんです。

くるんと人参が折り畳まれ、箸を指先として自由自在に操る中東さん

素材から生まれる機能性

ーーー今回、箸を監修する上で、実際に清水勝氏の竹の加工現場にも足を運ばれていましたが、
孟宗竹や真竹などの多くの竹が並ぶの中から「真竹」を選ばれたのはなぜでしょうか?

美しく手入れの行き届いた清水勝氏の竹林

N:清水さんの真竹は、硬さとしなやかさのバランスがとても良いんです。繊維が細かく、密度が高いので、
しっかりした芯がありながらも軽やか。軽く握るだけで、力が箸先までスッと伝わる。
食材を和えるような場面では、繊細さと共に力強さも求められますが、その両方を兼ね備えています。
細やかな動きを必要とする作業でも、思い通りに使える箸です。

ーーーなるほど、プロの料理人が毎日使う道具だからこその視点ですね。

N:毎日使うものだから、耐久性も大事です。長く使っても折れたり曲がったりしにくい。

竹の種類によって異なる特性や中東さんの要望など、プロ同士の意見が交わされた

感覚からのデザインの落とし込み

ーーー盛り付けを拝見していると、花を生けるように自由で即興的な動きが印象的です。

N:型にはめすぎず、その時の気分や感覚を大事にしています。盛り付けは集中力のいる作業でもあるので、
箸に気を取られたくないんです。料理中に箸を手に取ったら、持ち替えることはほとんどないので、
さっと違和感なく使えるように。どの面を上向きにして持っても扱いやすく、
竹ならではの皮目の美しさが伝わるデザインにしました。

日本食の盛り付けは、繊細な素材と向き合い、指先の動きで美を重ねていく

ーーー確かに、裏表を気にせず持てるのはいいですね。特に持ち手部の優しい丸みが自然に手になじむ感じがありますね。

N:心地良いですよね。僕自身、物語のない道具はできるだけ選びたくないんです。
日常で使うものだからこそ、“なぜこれを選ぶのか”という理由や背景を大切にしています。
美しい見た目と、確かな使いやすさ。両方がそろって、初めて日常に根づく道具になると思います。

箸を日本食の大切な道具として尊重する中東さんは、京のあやさし箸を楽しそうに使っていた

日常とおもてなしの場で

ーーー購入された方には、どんなシーンでこの箸を使ってもらいたいですか?

N:箸先の細さは、ちょっとした副菜の盛りつけや、お弁当作りにも大活躍します。
ひじきやきんぴらを少しずつ詰めたり、豆をつまんだりと、細やかな手仕事に寄り添ってくれます。
あとは、大皿料理の取り箸にしていただきたいですね。食卓に置くだけでも目を惹きますし、
「これ、どこのお箸?」と話題になるはず。お客様をお迎えする際、お料理にこの箸を添えるだけで
テーブルの雰囲気が一層引き締まると思います。

食卓の空気を静かに整えるのも箸の持つ大切な役目

ーーー確かに、頑張ってつくった料理に添えると気分も高まります!

N:品格ある一膳を、ぜひみなさんの日常の中でも楽しんでいただきたいです。
調理箸に適した27cm以外にも、日常の食卓で扱いやすい24cm・22.5cmもつくりました。
手に自然になじむ質感と軽さで、毎日の食事の時間をより一層心地良いものにしてくれますよ。


京都の職人技と料理人の感性が響き合って生まれた「京のあやさし箸」。
竹の力強さとしなやかさを最大限に引き出し、箸先のわずかな角度にまで美意識が息づいています。

京都で受け継がれてきた美の精神を、細部から感じる至極の一膳。
静けさの中に確かな存在感を放ちながら、日常にもおもてなしの席にも自然に溶け込む逸品です。


中東篤志(なかひがし・あつし)

京都市の料亭の家系に生まれ、12歳から父の元で料理を学ぶ。高校卒業後に渡米しプロのバス・フィッシャーマンを目指すも、
23歳で料理の道へ復帰。ニューヨークの精進料理店『嘉日』で6年間副料理長兼GMを務めた。2015年に米国でOne Rice One Soup Inc.を設立し、カリナリーディレクターとして独立。

現在は日米を拠点に、日本食や日本酒のイベント企画・運営、店舗プロデュース、商品開発などを幅広く手掛ける。日本食の精神性を大切にし、「日本食業界の関係人口を増やす」ことを目標に国内外で活動。2021年には、福井県小浜市に地元食材90%以上のメニューを提供する「和久里のごはんや おくどさん」をオープン。ルーツである京都と小浜をつなぐ鯖街道に関わる活動も積極的に行う。



京のあやさし箸 22.5cm
https://www.hashikura1922.com/view/item/000000001891

京のあやさし箸 24cm
https://www.hashikura1922.com/view/item/000000001890

京のあやさし箸 27cm
https://www.hashikura1922.com/view/item/000000001889


photo:堀越 一孝
text:梁 翠芳

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